彼らの曲の中には「I'm a singer」に代表されるように、歌手が登場するものがいくつかあります。
「歌もたまにはいいけれど 歌におぼれちゃおしまいね」(『あとまわし』より)、 「気楽な歌うたい」(『あばんぎゃるど』より)、 「僕が歌うから」(『お・や・す・み』より)
などでは歌を歌う男が登場します。
「愛敬もそぞろギター」(『やっぱりJAPANESE』より)、 「ピアノを打つと」(『MOZART VIRUS DAY』より)
では楽器を演奏しています。まあこれだけでは、登場人物が歌手であるかどうかまでははっきりしませんが、少なくとも彼ら自身がモデルであることには間違いはないと思います。やっぱり身近なことが書きやすいですからね。初期の作品によく「歌う男」が登場するのもそのためと思われます。
「今日もメロディー進まない」(『ENERGY』より)
では曲を作っています。
「仕事で歌うだけじゃない」(『どのくらい”I love you”』より)
では主人公が歌手であることがはっきり分かります(ちなみにこの曲はASKAが妻に向けて書いたと言われています)。
「酒・タバコ」のところにも書きましたが、曲は作品なので内容はもちろん創作です。ですが、まるっきりの嘘は歌えないのだそうです。自分の中にないものは作れません。そうASKAが言っています。なので、詞の内容をすべて彼らの経験だと思うと余計な誤解が生じますが、ある程度自分たちの日常をベースに曲を作っているということにはなると思います。
そう思うと、今までに上げた詞はすべてASKAが書いたもの。日常が音楽だとすると…、仕事人間であるASKAらしいか、とも思えます。
徐々に彼らの世界も広がってくるためか、しだいに音楽を離れて実にさまざまなテーマを歌うようになります。…と思いきや
「やっぱり僕がラブソング 歌ってしまうのは」(『デェラ・シエラ・ム』より)
ときた。どこまで行くのだろう、と思わせておいていきなり原点に還る。彼らのキャパの広さ、手駒の多さに脱帽です。
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